「いのち」が循環するタオル工場の爆誕
私達のタオル工場は「 唯一無二 」
まず初めに
私たちは、残留農薬や蛍光染料及び合成界面活性剤などの人体や生態系に有害な化学物質を自身のタオル工場から排除し、タオル製造時の工場排水も敷地内の農業ハウスや水性生物が繁殖するビオトープ(タオル池)で循環利用するタオルの一貫生産工場「Nature Towel Factory」(一貫生産は、紡績後の糸から最終製品化まで)を2022年に完成させました。
私たちが、何を想い、何を考え、現在のタオル工場に辿り着いたのかについて下記にてご紹介していきます。
【なぜ、一貫生産工場になったのか?】
〜 化学薬剤という脅威からの脱却 〜
一般的なタオル生産は、タオルのコストを下げるために完全分業化されています。また、能率性や効率性を追い求めてきたタオル製造産地では多種多量の化学薬剤を必要とし、タオル製造の一部を担うメーカーは、それぞれが担う工程のみの技術や知識を有していることから、各工程での製品の管理方法や環境汚染・人体汚染に関する管理方法は、完全にブラックボックス化されています。そのため、どのような生産管理のもとでタオルが作られているかについて、分業の中で全てを把握することは不可能であるということが、タオル製造業界の常識でありました。
そんなタオル製造業界の常識から自分たちの身を守るために抜け出した私たちは、全ての管理を自らの手で行なっていくために、私たちはタオルの一貫生産工場を作り上げ、すべての工程を自分たちで管理し、自らが手がけていくための技術を磨き上げてきました。
全ての工程を把握でき且つ環境に対する配慮を妥協無く取り組んでいく「ものづくり環境」(循環型環境ストレスフリーを実現したタオル生産)を整えてきたことで、私たちのタオル作りに関わる全ての「いのち」に対し敬意をもって接することができるようになりました。
それは即ち、「生命の豊かさ」を感じることができる新たな時代のタオル作りの、スタート地点に立つことができたことを意味します。
〜 風綿という脅威からの脱却 〜
タオルを作る自分自身と、私たちを取り巻く周りの環境(生態系)を守るタオル作りを志したことで、私たちはタオル工場内でマスクも付けずにタオル作りをすることができるようになり、深呼吸も思う存分できるようになりました。
一般的なタオル製造工場では、農薬(殺虫剤や枯葉剤)が残留する綿花を使用します。また、石油由来の化学糊剤で綿糸をコーティングして糸の強度を高め、高速で織り上げれるようにする加工(サイジング)や、化学薬剤(蛍光染料・合成界面活性剤)によって加工された綿繊維やポリエステルなどの石油繊維を高速で織り上げます。そのような工程では、大量の風綿が飛散し工場内に飛び交います。このような風綿を体内に吸い込んでしまうと発癌性リスクが高まってしまうと専門家は懸念しています。
また、綿の油分や不純物を取り除く精練加工や繊維を染め上げる染色加工などを行う工程においても、高濃度の水酸化ナトリウムを使用し、蛍光染料などの発癌性リスクが懸念される化学薬剤を使用することから、ゴム手袋はもちろん、マスクは必須アイテムとなっています。
長期間そのような現場で働くことは、人体に有害な様々な化学薬剤(蛍光染料・添加剤・助剤・芳香剤)を長期間に渡って人体に取り込んでしまうリスクが高いため、人体への様々な悪影響が懸念されています。
そうしたタオル製造業界の現場に取り巻く労働者の「人体汚染リスク」に対しても、私たちは自らの手で「自分たちの健康を守る」というタオル業界の常識に捉われぬ形で独自の進化を進めてきました。
一貫生産工場を持ったことによって、タオル製造における全ての工程を把握し、それぞれの工程の技術を習得し、またタオル作りの極意を身につける中で、綿という素材の本質にも目を向けることができてきました。
そこから得た知識によって受けた恩恵は計り知れず、中でも自分たちの身体や心の健康を守り続けられる環境「タオル製造におけるウェルビーイング」を工場内に作り上げることができたことは、まさに幸運というべき成果でした。
【なぜ、単一綿になったのか?】
私たちは、独自の綿研究で「混綿(品種違いの綿を混ぜ合わせること)」を行った時の、綿の変質(性質変化)の実態を発見することができました。
それは、品種や産地違いの綿同士が互いの異なる性質を無理矢理混ぜ合わされることにより、性質も変化してしまうという綿特有の現象でした。(この現象は、時間の経過によって、性質の変化はより明確に変化することも確認できました。)
一般的なタオル製法では、化学薬剤による処理によってセルロースのみの状態まで晒しきるため、特に問題になる話ではないのですが、私達のタオル作りでは、そのような綿の性質変化は製品の品質の変化に繋がってしまい、製品の安定性を欠いてしまいます。そのため、私たちは異品種または異産地の綿花を混ぜ合わせる「混綿」を避ける判断を2019年に決定し、それまで使用していたアメリカ産の有色(緑色・茶色)の有機綿(オーガニックコットン)「サリーフォックスのオーガニックコットン(グリーン&ブラウン)」の使用を停止しました。
この大きな決断をした後は、ウガンダ産有機綿(ウガンダオーガニックコットン)のみを使用してタオルを作る単一綿・単一素材のみのタオル製造に切り替え、ウガンダ有機綿の特徴を引き出し、様々な価値の有効利用を考えるタオル作りに取り組んでいいます。(現在、スマイリーアースのタオル工場内の風綿は100%ウガンダオーガニックコットン)
また、現在の「まじめん」のタオルやガーゼ製品は収穫から5年以上寝かせたウガンダ産の有機熟成綿を使用し、有機綿特有の天然撚りが落ち着き始める時を待って、タオル作りに使用しています。
綿は、まさにワインやウイスキーと同じで、寝かせることで綿の特徴は際立ちます。ファストファッションの台頭によって、生産と消費のスピードが重視される繊維・アパレル業界において、私たちは「まさに逆行者」と揶揄される存在です。
しかし、私たちは綿のことを誰よりも知る者として、タオルを通じて綿の本当の魅力を皆様に届けることができればと考えています。
【なぜ、単一製法になったのか?】
私たちは、2015年に「循環型環境ストレスフリーを実現したタオル生産プロセス」という独自の単一製法を構築して、日本水大賞、ものづくり日本大賞で経済産業大臣賞を受賞しました。この表彰制度における審査時に、私達が開発した新たなタオル製法「自浄清綿法」の可能性を産業技術研究所や国立科学博物館の研究者が、タオル業界の歴史を大きく変える技術革新と驚き、私たちは背中を押される形で、厳格な表彰制度の名誉ある賞に推薦されることになりました。
私たちは、「一貫生産工場」「単一綿の使用」「単一製法」という他に類が無い唯一無二のタオル作りで、世の中へ「タオルの新たな価値」を提案することができるようになりました。
国際オーガニック認証からの脱却
2021年には、スマイリーアース設立時から10年以上に渡って取得し続けてきた国際オーガニック認証の取得も、その認証制度の信頼性への懸念(インドで起こった不正認証問題)から、認証の取得継続を停止しました。
10年以上の認証取得継続の経験から、あくまで人が認証するという一つのビジネスとして作り上げられた認証ビジネスでは、「オーガニック」という素晴らしい概念は、ビジネス観点によって「歪められている」ということに気づくことができました。
〜 ラベルを貼れば良い製品という 〜
「認証ラベル」は消費者へ早く分かりやすく伝わるというビジネスでは必要不可欠な「スピード感」を得ることができます。しかし、それはビジネスである以上、認証する側もお金さえもらえればオッケーで、基準に関しても厳しくしてしまうと市場が小さくなってしまうという観点から導き出された認証基準を作り、世の中へ「分かりにくい基準」を提示してしまう。
そうして結局は、認証代は消費者の負担となってしまい概念も歪められたまま、「オーガニック」は曖昧な存在として扱われるようになっていました。そんな結末を、私たちは10年以上に渡り見続けてきました。
スマイリーアースは、この悪循環から脱却するために生産現場の「見せる化(オープンファクトリー)」を始めたのです。
オープンファクトリーへの挑戦
現在のスマイリーアースは、私たちの理論を直接現場を見せて伝える「ファクトリーツアー(工場見学)」を通じて、私たちのタオルの価値を提案する方法へ完全に切り替え、製品を誰かに託して売ってもらうという販売手法から直販のみの販売手法に転換し、私たちが「ものづくり」の現場で考える「オーガニックタオルの概念」を捻じ曲げずに実直に伝えられる形を構築することができました。
私達は「いのち」が豊かに循環するタオル作りを通じて、少しでも地球を笑顔にしていくための挑戦を続けています。